ガラスをもっと身近に。見て、触れて、使って楽しめる美しいガラス作品 | Dear Okinawa,

よみもの

2020/10/16 12:13

流れるような曲線と、やわらかな優しさの奥に秘められた神秘的な美しさにうっとり。華やかさと優美さを兼ね揃えたそのグラスを初めて見た瞬間から、私は既に心惹かれていました。

そんな繊細で美しいガラス作品を手がけるのは、吹きガラス作家の比嘉 奈津子(ひが なつこ)さんです。

沖縄県本島北部の名護市にある工房で日々ガラス制作に取り組む奈津子さんは、幼いころから透明なものに興味があったそうで、例えば「ラベルをはがして水を注いだペットボトルを1日中でも眺めていられるほどでした」と話します。
「存在しているのに向こう側が見えて、でも目の前にある景色が歪んで見えるのが不思議で」と奈津子さん。

そんな子どもの頃からの素朴な疑問がキッカケとなり、高校卒業後は県外の芸術大学へ。工芸学科ガラスコースで4年間ガラスと向き合いました。
それでも学び足りないと感じた奈津子さんは卒業後、日本各地の工房で技術や装飾を学びながら制作活動を続けることに。

そんなある日運命に導かれるように再会したのは、東京で料理修行をしていた大陸さんでした。
奈津子さんと大陸さんはなんと地元の同級生。学生時代は「喋った記憶が無い」というほど接点のなかった2人でしたが、時を超え、お互いの夢や方向性が同じだったことからすっかり意気投合。
ずっと「ガラスを身近に感じてもらいたい」と思っていた奈津子さんに、大陸さんは“ガラスと飲食を組み合わせる”という提案をしました。
大陸さんの作る料理を奈津子さんの器に盛り付ける=「お互いがプラスになれる関係性が築ける」と感じたふたりは一緒に沖縄へ戻ることに。

2014年にオープンさせたレストラン「ENTRO soup&tapas」では、大陸さんが料理を担当し、奈津子さんが手がけたガラスの器に盛り付けて提供。

「自宅で使うシーンがイメージできるように」と、店内には器の他に、奈津子さんが作った照明や花器などが並び、実際に手にとることが出来るようになっています。


こちらはDear Okinawa,オリジナルのアペリティフグラス。低い方は8cm、高い方は9.2cmです。微妙に長さが異なるグラスは、同じ日本酒を飲み比べてみると味の違いが歴然!
グラスから舌に触れるまでの長さ(時間)でお酒の味が変わるという事実を体感した奈津子さんは、この“味わいの差を楽しむグラス”をコンセプトに、リムの反りや角度の研究を重ねて商品化。

もちろん機能性だけでなく、カップの下半分から縦型模様が入り、持ち手には金彩が施されたエレガントで美しいグラスです。同じお酒で、ドライとマイルドの違いを飲み比べしてみたら面白そうですね。
比嘉さんは、このグラス以外にも、様々な飲み物に合う専用グラスを研究中です。Dear Okinawa,にも並ぶ予定ですので、どうぞお楽しみに。

奈津子さんが手がけたガラスは現実と幻想が入り混じり、ガラスという固い物体なのに、目の前に置くと柔らかく心地の良い雰囲気を作り出してくれます。
ガラスはちょっと敷居が高くて…と思っている方にこそ日常使いしていただきたいです。

Photo&text:舘幸子








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